「…どうしたの?その髪の色」
『え、へん?』
「変じゃないよ。似合ってるけど…」
ジョウじゃないみたい。
その言葉を、呑み込んだ。
『けど?』
「ううん。ジョウが良いなら良いと思うよ。でも、注目されてるのは嫌だなぁ」
『…サンキュ』
8組の一番後ろに座っているジョウが、赤くなった。
それで、私はすっごく嬉しくなって電話を切った。
「何ニヤけてんのぉ」
美緒が私の顔を覗き込む。
明日から、冬休み。
「でも、やっぱり茶髪のが良かったなぁ」
誰も居なくなった教室に、私達は二人きりで机の上に座っていた。
「何で?」
「なんとなく!」
これだけのことで、何故か私は自分が高校生なんだと実感した。
中学では出来ないことを、私はしている。
「日芽」
「うん?」
呼ばれ、顔を上げると、ジョウは目を逸して後頭部をかいていた。
「スカートで胡座かいてんの、何か、エロい」
「えっ!?」
慌てて足を閉じると、ジョウは安堵した様に微笑んだ。
そして、私の隣に座る。
「何か…良い…」
「うん…」
二人で立ち上がって、そのまま床に座った。
そして、ジョウは私の首に手を回してキスをした。
そっか。
この雰囲気、
ジョウの瞳…
いつの間にか、ジョウが私の上に居た。
「…良い、よね?」
「…うん…」