『1年1組は、移動して下さい』
12月22日。
今日は終業式で、明日から冬休み。
「体育館寒いから嫌だー!!」
美緒がブランケットを肩にかけて、体をブルブルと震わせている。
先生にはみっともない、と怒られてたけれど、寒さは尋常じゃない。
「邪魔だし、一年!!」
三年の見覚えのある様な人が、わざとらしく私達にぶつかって行った。
「うざ!邪魔なのはどっちだよ!さっさと卒業しちゃえっ!!」
美緒は、相手に聞こえる様に大声で言う。
それを見て奈津と弥生が笑う。
「日芽、見て!!」
弥生が驚いた様子で何処かを指差す。
私は、その先に顔を向けた。
「えっ……」
私が見たのは、友達とじゃれ合うジョウ。
でも、昨日はいつものジョウだったのに。
今日のジョウは、髪が金髪になっていた。
「譲君、どうしたの?」
「…知らない…」
「みんな見てるしー。見るのは日芽だけで良いっつの」
何があったのかは、後で訊くことにしようかな…
―ピロリン…
マナーモードにするのを忘れた携帯が、ポケットの中で鳴った。
運良く横山には気付かれていない様で、こっそりと耳に当てた。
「もしもし?」
『譲だよーん!!』
声に驚いて、ジョウが座っている方向に顔を向けた。
すると、ジョウは体全体を使って手を振っていた。