「乗らないの?」



いつもなら、何も言わないでヘルメットを渡してくれるのに。


今日は、手で押そうとしているみたい。



「一秒でも多く、日芽と一緒に居たいじゃん」


「………」



今、キュンってした。


満面の笑みで微笑むジョウは、子供っぽい。



「もう少しで二年っていうより、冬休みが先だなぁ」


「あ、そうだね」


「どっか、行く?」



人込みでジョウを探すよりも、何かに乗って笑うよりも…



「…ジ、ジョウと一緒に居たい!」


「何で噛むの?」



真っ赤になる私を見て笑うジョウ。


重そうなバイクを押しながら、ゆっくりと歩く。



「…私達、ずっと一緒に居れるよね…?」


「…何で?」


「…ずっと一緒に居たいもん。大好きだもん」


「日芽!当たり前だろ!」



突如、大声を出したから驚いて肩が跳ねてしまった。



「結婚すっかぁ?」



照れくさそうに言った彼は、耳まで真っ赤になっていた。



「そういうのは、ちゃんと言ってほしいな」


「……無理!!」



そう言って、ジョウは口を尖らせた。


時間が経つのは早いもので、私達はあっという間に私の家の前に着いてしまった。



「やっぱり、お前ん家、近いな」


「…そうだね」



溜め息を吐く私の頭に、手を乗せてにっこりと微笑んだジョウ。



「なに?」


「ううん。また明日な!」


「…うん。バイバイ」



こんなにも、離れたくないなんて。