教室の前まで、やって来てしまった。


普段なら、戸惑うことなく中に入るけれど、一週間分の時間が私の足を止めてる。



「…日芽…」


「…大丈夫。だって、ピアス見つかったんだもん」


「行く?」


「うん」



開きっ放しの扉から、中に入る。


すると、何故か私の視界は一瞬だけ光に包まれた感覚になった。



「………」



沈黙し、注目される時間が嫌だった。



「…橋下?」


「…日芽…?」


「日芽ちゃーんっ!!!」



現状を把握したクラスメートは、次々と私の周りに集まった。


変なことを考えていた私がバカだった。



「橋下、無理はすんなよ」



横山が教室に入って来てから席に着くと、杉山がそう言った。



「…杉山って、見た目バカだけど結構優しいね」


「バカは余計だ!」



文化祭は、最後まで皆と一緒に居れなかったけど、今日から頑張る。


今日からが、私の再スタート。



「文化祭の時の写真、出来たよ」



休み時間、奈津が写真の束を持って来た。


それを受け取った私は、一枚一枚、めくっていった。



「あ、やだ!白目剥いてる!!」


「これね!可愛いじゃん!」


「ジャガバター懐かしい」



皆で色々な意見を交わして、少し遅いけれど楽しかったね、と笑い合った。



「…あ…」



最後から二枚目、まるで忘れることを許さない様な写真。