手を繋いだまま、校舎に入って階段を上った。


すれ違う人達は、私の顔を見て驚いていた。


いつもの、私達が別れる角でジョウは振り返った。



「日芽、手」


「手?」



言われて、繋いでいない方の手を出した。


すると、ジョウは私の手に手を重ねて何かを乗せた。



「文化祭ん時、渡せなかったからさ」


「…あ…」



手を開いて見てみると、文化祭の前に無くした苺のピアスがあった。


もう見つからないと思っていたピアス。


ジョウから貰った、苺のピアス。



「…何処にあったの…?」


「俺のバイクの近く。一瞬違うかと思ったけど、ココに付いてなかったから」



言いながら、私のベストを指差す。


そんな細かいところまで見ててくれたんだね。



「…ありがとう。何か、恐かったけど勇気出たよ」


「まじ?良かった!」


「じゃあ…ホントにありがとね」


「おう。頑張れよ。あの席から見てるから」


「うん」



どちらからでもなく、自然に手は離れた。


そして、一度も振り向かないで廊下を歩いた。


左手には、やっと見つかった苺のピアス。



「…日芽ーーっ!!」


「あ…美緒っ!!」



廊下の向こうの方から、美緒が手を広げて走って来た。


私も手を広げて走る。



「…良かったー!もう大丈夫なの?警察は?」


「大丈夫だよ。ありがとう、美緒」



美緒に会うのは、私が助かって以来。


でも、問題は教室に入ってからのこと。