それから、今回の事件について聴取される毎日が続いた。
美緒は、早く学校来てねと言うけれど、緊張して行けない。
でも、落ち込む日には必ずジョウが電話をして来て、大丈夫?って訊いてくれた。
「はよう!大丈夫か?」
「…うん」
今日は、学校に行く。
久し振りに着た制服は、冬服で既にマフラーの時期だった。
「ほい、ヘルメット」
「…うん」
「…キツくなったら、絶対電話しろよ。家まで送るから」
「…ううん。大丈夫!」
にっこりと微笑んで、ジョウの後ろに跨がった。
久し振りのこの位置。
―ジョウ、またバイクかよー!!
―あれ、彼女じゃん!見つかったんだ
―譲君、可愛いー!
通学路を歩く人達が、私達を見て言う。
その一つ一つが気になって、私は何度も振り返っていた。
「日芽、空見てみ?」
赤信号で止まると、ジョウは振り返って挙動不審な私に言った。
言われた通り、空を仰ぐ。
「あ!」
「綺麗だろ!?」
いつ出来たのか分からない、大きくて、綺麗な虹がかかっていた。
ずっと見とれていると、バイクが走り出して再びジョウに手を回した。
「久し振り…」
駐輪場から校舎を見上げると、ジョウが笑った。
「何にも変わってねぇよ」
手を差し出されて、右手を絡ませた。
緊張してる。
もし、皆が私のことを忘れてたら…なんてバカなことを考えてしまう。