「てめぇら!!」



男達を殴ったのは…心だった。


心は私の腕を引っ張って、無理矢理立ち上がらせた。



「逃げろ!」


「…でも」


「外に警察が居る。迷惑かけてごめんな」


「………」


「早く行けよ!!」



初めて怒鳴った心を見て、恐くなった私はアパートから初めて外に出た。


裸足のまま、フラフラと階段を下りる。



「…あ……」



アパートの階段を下りると、眩しい光が私を包み込んだ。


お母さんもお父さんも、翔太も美緒も……


皆居た。



「日芽!!!」



人込みをかき分ける様にして現われた、大好きな人。



「ジョウ!!」



ぺたりと座り込んだ私に向かって、走って来るジョウ。


そして、私は思い切りジョウを抱き締めた。



「…久し振り…久し振り…ジョウ…」


「……日芽…会いたかった…」


「…私もだよ……」



涙が、止まらなかった。


久し振りにジョウに出会えた喜び、先程の出来事の悲しみ。


今までの苦痛。


我慢していた全ての感情が溢れ出して、子供みたいに泣いた。


美緒も、お母さんもお父さんも、翔太も…皆泣いていた。



「……大丈夫か!?」


「日芽、その格好…!」



破られた服を見て、慌てたお母さんは、自分の上着を貸してくれた。



「ねーちゃん!俺、すっごく心配したんだからな!!」


「良かったよ!無事で良かった……」



私を囲む様に、皆泣き続けた。


ジョウも、私の冷たい手をしっかりと繋いで、泣いていた。