誘拐されてから、ジョウに会えなくなってから、家に帰れなくなってから。
もう、どのくらい日が経ったのか分からなくなっていた。
「……ジョウ…」
窓から外を眺める。
何処からか、賑やかな叫び声等が聞こえて来る。
冷たい風は、放心する私を元気付けた。
「…ジョウも、この風、感じてる?」
呟くと、玄関からノックの音が聞こえた。
「…心?」
心なら、ノックをせずに堂々と入って来る筈。
私は、玄関まで歩いて扉を開けた。
「心?」
開けてから顔を上げると、知らない男の人が数人、立っていた。
心の仲間ではない。
「…だれ…?」
「ほんまに居った!心ら居らんうちやで」
「おぉ」
一番大きい人が、部屋に入って来た。
それに続いて、数人も次々と入って来る。
私は、恐くなって部屋の奥まで逃げた。
「何処行くんねや」
「無駄無駄!」
「…いや…!」
腕を掴まれ、必死に抵抗するにも力は適う筈もなく、男は私に馬乗りになった。
「…いやっ!やだ!!」
「無駄だって言っただろうが!静かにしろ!!」
「お前等、誰か来んよう見張っとけや」
「はい」
心に買って貰った服が簡単に破られた。
男の顔が私に近付いて来た時、外から誰かが暴れる様な音が聞こえた。
「ちっ…!こんな時に」
「…助けてっ!!誰かっ……ジョウ!!」
その前を呼び、顔を男の顔から背けると、靴が見えた。