私がこのアパートに連れて来られてから、三日目。
暇で暇で、時間が進むのが遅い気がする。
「…暇…」
アパートには、私だけしか居ない。
窓から見える景色も、置いてあるCDも、全て飽きた。
―ホントかよ
―冗談言ってる暇なんかねぇぞ
たまに、玄関外から聞こえる知らない人達の会話を聞く。
食事も満足に貰っているし、洋服も買ってもらった。
こんなのって、誘拐って言うの……?
「よう。大の字に寝ちゃって、まじ女捨ててるな」
「…どうも」
三日に一度、運転していた人が私の部屋にやって来る。
男の人は、空いているスペースに座って胡座をかいた。
「…何なんですか」
「何が?」
気楽そうに、煙草に火を点けた。
「…誘拐だなんて言って、食事も洋服も用意して。何がしたいの?」
「じゃあ、食事も洋服も用意しなくて良い?」
優しく微笑んだ彼の目は、やっぱり笑っていなかった。
「…違う。私が言いたいのは」
言いかけると、突如彼は私を押し倒して両手を押さえ付けた。
当然、男の人の力には適う筈もなく、無抵抗。
「いつでも襲えちゃうんだぜ」
「………」
「…まぁ、俺は犯すなんて趣味ないけど」
ダルそうに言った彼は、起き上がって伸びをした。
私もゆっくりと起き上がり、体操座りをした。
心臓の鼓動が、有り得ない程速い。