「ジョウのクラスは、何になったの?」
「………」
「おーい?」
お昼休みの屋上、日差しを避ける様に陰にベンチを移動させて座った。
文化祭の出し物は何か訊いているけど、何故かジョウは返事をしない。
「…変なのになった?」
「女子は男装、男子は女装の喫茶店!」
「……え?」
「………」
怪訝な顔をして、空を仰いだジョウ。
私は、口を抑えて笑いを堪えた。
「…悪かったな」
「違う、違う。ジョウの女装…見たい!」
「キモいから」
「絶対可愛いよ」
想像するだけでも、可愛いジョウしか浮かばない。
「どんな格好するの?」
「うるせ!」
拗ねて軽く私を睨むジョウ。
何だか、ジョウの色々な表情を見る度に、短期間でどれだけ仲良くなったのか、分かる気がする。
「楽しみだね!」
「全っ然!」
ジョウは、犬みたいに大きく首を横に振った。
その時、耳についているピアスが見えた。
「…ピアス、おそろい…?」
「…おう」
「可愛いね!」
日々、ジョウに近付いている様で嬉しいよ。
でも、たまに聞こえて来るあの噂に耐えられなくなる時もある。
それで私が俯くと、ジョウは私の肩を叩いて、両手で耳を塞いで聞こえねぇって言ってくれる。
「…そろそろ先輩達、うざくねぇ?」
「手出すの?」
「出さねぇよ、面倒臭い」
「…絶対やめてね」
立ち上がると、三年の階の廊下から、あの先輩達がこっちを見ていた。
黙り込んだ私に気付いたジョウも立ち上がった。
「気にすんな」
「うん」
強くなるって決めたんだもん。