「日芽ーっ!!」



ジョウのバイクの陰に座っていると、ジョウの声が聞こえた。


慌てて顔を出すと、校舎からジョウが出て来た。



「ジョウ!!」



通り過ぎて行ったジョウを追掛けて、駐輪場から出た。


すると、ジョウは直ぐそこで息を整えて立っていた。



「…日芽…」


「…ジョウ!!」



私達は、校舎と体育館を繋ぐ通路でお互いを強く抱き締めた。



「…恐かった…恐かったよ…」


「…俺のが恐ぇよ…。お前、何衝撃的なこと叫んでんの?」


「…聞こえた?」


「少しだけ」



今更、真っ赤になる自分が恥ずかしかった。


でも、ジョウは笑いを堪える様に震えていた。



「…何で笑うの…?」


「…日芽、可愛い…天然…」


「…笑うな」


「じゃあ、日芽にとって、俺は初めての男だな!」


「…やらないもん!」



ジョウから離れた私は、下駄箱に向かった。


ジョウは、焦って私の隣に並んだ。



「何処行くんだよ」


「あんな気まずい空気の中に入れないし。帰る」


「帰んなよ!今日、文化祭の割り当てとかあるんだぜ!?」


「…ジョウは居れば良いじゃん」


「日芽が居ねぇ学校なんてつまんねぇ!!ほら、上履き!」



強引に腕を引っ張られ、私はあの教室に戻ることになった。


授業中には戻れない、と言う私に休み時間まで付き合ってくれたジョウ。



「日芽ー!良かった!帰っちゃったかと思ったよ!」



休み時間、真っ先にやって来てくれたのは、美緒だった。


私に抱き付いて、背中をぽんぽんってやってくれた。