家には、まだ誰も帰って来ておらず、とても静かだった。
玄関に鞄を置き、そのままリビングのソファに腰を下ろした。
リモコンに手を伸ばし、電源を入れた。
「…何だろう?」
先程、ジョウから貰った小さな小さな紙袋をテーブルに置き、腕を組んで眺めてみた。
ずっとジョウが持ってた紙袋。
考えるだけで、顔が緩む。
「開けるか…」
プレゼントを貰って、開けるのにこんなにも躊躇ったのは初めて。
「……うそ」
現われたそれは、とても光って見えるピアス。
私の好きな、苺のピアス。
校則は緩くて、アクセサリーや染色などは許されてる。
ジョウの友達も、重そうなのつけてるもんね。
「ただいまー」
リビングの入口から、黒のランドセルが二階に上がって行くのが見えた。
『…もしもし?』
「ジョウ?あれ見たよ。ありがとう」
『あー…』
それを最後に、何故か黙り込んだジョウ。
「…ジョウ?」
『…あの、そのぉ………気に入った…?』
「うん!」
『…良かった!良かった!!』
それから、あれを買うのに恥ずかしい思いをしたことや、一瞬無くしそうになった話を聞いた。
そんな話より、私は、ジョウの可愛い一面を発見出来て、嬉しいよ。
「あれ?姉ちゃん、それ、ピアスじゃないの?」
「ピアスだよ」
「じゃあ、何でベストに付けてんの?」
「耳に穴無いから!」
明日、ジョウに相談してどうしたら良いか訊いてみよう。
暫く、ソファに寝転がって、携帯をいじっていた。