たまに聞こえる【瑠奈】という名前に、少し怯む自分が居た。
「静かに!うるさいですよ!!」
教頭がマイクを使わずに叫ぶ。
今の行動で、こんなに騒がしくしてしまうジョウは、本当に人気者なんだと実感した。
始業式が終わり、教室で暫く担任の夏休みの話を聞いて盛り上がっていた。
担任は、体育の先生でクラスは勿論、他クラスからも好かれる熱血野郎。
筋肉モリモリとか、ゴツい感じは一切なく、少し細すぎではないかと思ってしまう体系。
顔は、ジャニーズ系という噂があるらしいけど、熱血のジャニーズなんて、聞いたことがない。
「席替えするぞー!」
担任の提案に、皆は騒ぎだし、一人ずつクジ引きをしていった。
「日芽、何番?」
「32番!」
「遠い!」
悔しがる美緒は、渋々机を動かしに行った。
32番の私は、窓際の前から二番目。
昨日のジョウとの会話を思い出し、机を動かし終わってから窓から外を眺めてみた。
四角い中庭が一階にあり、三階の此処は最上階。
向かいに教室があり、私達とは逆の方向に黒板がある。
「あ!」
窓側の後ろから二番目の席に、ジョウが居た。
遅刻をして来たくせに、眠っている。
少し、嬉しくなってその姿を携帯で撮った。
右手で頬杖を着いて、少し口が開いていて。
「橋下ー、お前携帯なんか出してる暇ないだろー」
担任が教卓に頬杖を着いて言った。
態勢が同じでも、ジョウの方が可愛い。