―ミーンミーン…


9月1日。


来なくても良かった始業式が始まった。


私の隣には、大欠伸を連発する美緒が居る。


周りには、まぁまぁ仲の良い奈津と弥生が携帯をいじっている。



「…あれ?譲君居ないんじゃない?」


「…うん」



昨日は、行くと言っていたのだけど何故か姿が見えない。


いつもなら、金髪やらアクセジャラジャラやらに囲まれて目立つのに。



「…休みかなぁ?」


「メールした?」


「うん。でも、返って来ない」



力が抜けた様に、体育館の天井を仰いだ。


体育館には、校長の話が響いている。


すると、私達の場所とは正反対の場所にある廊下が、騒がしくなったのが分かった。


ザワザワと、先生達の声なのか遅刻して来た人達の声なのか。


色々と考えていると、体育館の扉が勢い良く開いたと思えば、そこからジョウが現われた。



「遅刻だったんだね」


「…うん」



いかにも、寝坊です、という頭をしているのは気のせいだろうか。


抜けていた筈の色は、夏休み前に戻っていた。


自分のクラスの場所にダルそうに歩くジョウは、私を見つけたのか笑顔になった。


そして、立ち止まると大きく手を振って来た。



「え?あれ、日芽に対して?」


「……多分」



怪訝な顔で、振り返す。


顔が熱くなるのが、自分でも分かる。


校長の話を無視して、生徒達は騒がしくなった。