「何が?」
にっこりと微笑んで、私の手を握ったジョウ。
「向こう行こうぜ。静かな処!」
「え!?」
私の手を引っ張って、前を走るジョウ。
人込みをかき分ける様に、間をすらすらと通って行く。
まるで、追掛けて来る者から逃げている様。
まるで、ジョウが私を連れ去ってくれている様。
好きだな、って感じる。
「疲れたー!」
「…何か、面白かったね!」
静かな公園の草原に、ジョウは寝転がり、私は座っていた。
うっすらと汗をかき、先程の視界を思い出して笑い合った。
「……もう、夏休みも終わりだなぁ」
「ジョウって、8組なんでしょ?棟が違う!」
「でも、中庭挟むけど教室は隣なの、知らねぇだろ?」
「え?じゃあ…窓から見える教室って、8組なの?」
「おう!」
「何だー!!」
少し、安心した気がした。
「初めて日芽と話した時、そっから日芽のこと見えて、かなり焦ったし」
「最初はね!」
でも、今はこうやって笑い合っているでしょう?
隣に居るでしょう?
人って、どんなキッカケで変わるか、分からないから。
見た目で決めたら、いけない。
「…もう暗いなぁ」
大切な時は、いつも時間が進むのは早い。
「見ろ、星」
寝転がるジョウは、空を指差した。
私もジョウの横に寝転がる。