扉を押し開けると、大きなバイクに寄り掛かったジョウが居た。



「…よう!」



私に気付いた彼は、体全体を使って大きく手を振って来た。


私も小走りで石段を駆け降り、門から出た。



「おはよう!…それ、ジョウの?」



私は、大きなバイクを指差して問う。



「まあね。カッコ良いだろ?」


「良く分かんないけど…免許持ってるの?」


「持ってなかったら持ってねぇよ!ほら!」



若干拗ねたジョウは、私にヘルメットを渡してから鞄を取った。



「ごめんね」


「気にしてねぇよ!ほら、早く!」


「…スカートなのに」



前にも言ったことのある様な台詞。


私とジョウは、美緒と居る時みたいに顔を見合わせて笑った。



「何処行くの?」


「花屋敷!」


「えー!?」



冗談っぽく笑うと、ジョウは楽しいんだよ!と意地を張った。


そんなジョウも可愛くて、好きだと思った。


出す準備が出来、ジョウもバイクに跨がる。


この時、この位置から見るジョウの姿が好き。



「ちゃんと掴まってろよ!」


「うん!」


「姉ちゃーん!いってらっしゃーい!!」



二階の窓から、翔太が身を乗り出して手を振る。



「バイバイ!」



私もジョウも、翔太に向かって軽く手を振った。


すると、バイクは大きな音を放って進み出す。


風が私の頬を叩く様で、少し痛い。