次の日。
目が覚めてむくりと上半身を起こすと、カーテンが日差しによって光って見えた。
「……寝れなかった」
何処行くんだろう、とか色々と考え、緊張してあまり眠れなかった。
しかし、何故か頭は寝癖だらけである。
「う、わ!姉ちゃんが早い!」
「…どうしたの?」
朝食を食べている翔太と、台所で皿洗いをしている母親が目を丸くさせた。
お気に入りの可愛い服に着替えたけど、頭はボサボサ。
「友達と出掛けるの。帰り、遅くなると思う」
「…日芽、あなたね、あれだけお父さんに言われて」
「うるさい」
母親の説教を遮って、翔太の皿のハムをつまみ食いした。
「…ちょ、ちょっと、日芽!」
リビングから出て、洗面所に歩く。
鏡で自分を見ると、今更凄い寝癖だと気付いた。
「…姉ちゃん」
「うわ!?」
鏡を通して、翔太と目が合った。
「何か、お父さんとお母さん…姉ちゃんのこと、悪く思ってるけど…オレは姉ちゃんの味方だから」
「……何で?」
「だって、あのお兄ちゃん、すっごい良い人だから!」
翔太は、洗面所に入って来て目を輝かせた。
「昨日、お兄ちゃんが家の前に来てから、ずっと見てたんだ。あの人、めっちゃ良い人だよ!」
「……小学生には、関係ないよ!どいた、どいた!」
翔太を軽くかわして、鞄を取ると玄関に座ってサンダルを履いた。
ありがとう、翔太。
ホントは、すっごい嬉しかったよ。