「…何ですか?」


「ジョウは…やめといた方が良いよ」


「…どうして?」


「あなたとジョウじゃ…釣り合わないもの」



そう言った先輩の顔は、嘘を吐いていない無表情で、少しだけ恐かった。



「…先輩には、関係ないです。それに…」


「………」


「…私達、友達ですから」



言うと、その場から走って逃げた。


ジョウと関わっている人は、綺麗で可愛いけど…何か違う。


大切なものが、抜けてる。


私は、先程まで居た花壇に向かって走り続けた。



「………」



花壇に着くと、付近に雑草がなく、水もあげてあった。


水滴が、日差しに反射してキラキラ光っている。



「ジョウ…?」



向日葵で見えなかったけど、花壇に座っているジョウが居た。


俯いていて、表情はよく見えなかった。



「…ジョウ?」


「…日芽…」



左手で、自分の隣をぽんぽんと叩き、座れと合図するジョウ。


私は、指定された場所に座った。


そして、暫く沈黙が続いた。


それでも、私はジョウが喋り出すまで橙の空を仰いでいた。



「日芽」


「ん?」



呼ばれ、顔を向けると一瞬にして私はジョウの胸の中に包まれた。


首に回る手に、次第に力が加わるのが分かる。



「…泣いてる?」



訊くと、ジョウは首を横に振った。


そして、私から離れ両手を私の両肩に置くと、目を真直ぐに見つめて来た。



「…好きだ」


「…え?」


「守りたい」


「………」


「隣に居たい」


「………」


「しあわせにしたい」


「…うん」



頷くと、私達は静かに唇を重ねた。