「死にたくなーいっ!!!」


「……どうした?橋下…」


「…え?」



【高校一年、夏】


蝉が鳴く中、私の目の前には、若干引いている数学の教師が立っていた。


そうだ、確か、今は数学の時間だった。


私は寝ていて…あんな恐い夢まで見ていたんだ。



―キーンコーン…



授業が終わり、盛大に伸びをしていると、友達の美緒が笑った。



「驚くよねぇ。授業中に、いきなり死にたくなーいっ!!!、とか」


「…殺させる夢見たの。しかも、母親に!」



少し不機嫌そうに言ってみた。



「母親ねぇ…何で?」


「知らないよ。それより、早く売店行こう。混んじゃう」



携帯と財布だけを持って、席を立つと美緒は慌てて鞄を取った。



「鞄持ってくの?」


「うん!ま、色々と入ってるわけですよ」


「誰ですかー?」



言うと、二人で笑い合いながら売店に向かった。