先輩達は、ひょいひょいと手招きをしている。


行かなければ、誰かが酷い目に合う様な、そんな気がした。



「しかし、まぁ…雑草だらけだな」


「…ごめん、ジョウ。私、トイレ行って来るね」


「ん?おぅ」



先輩達が隠れる方向へ向かうと、ジョウが早く帰って来いよと叫んだ。


振り返って手を振ると、ジョウはしゃがみ込んで雑草を抜いていた。


角を曲がると、ケバい先輩達が手を組んで立っていた。



「あんた何なの?」



第一声がこれ。


いつの間にか、私は壁に追い込まれていた。



「なにがですか?」


「何がじゃねぇよ!最近ジョウの周りうろついてんの、分かってんだぞ!?」


「…友達ですけど」


「新規が調子こいてんじゃねぇよ!!」



色んな人が、私にズンズンと近付いて来る。



「…新規とか…。私、ファンじゃないんですけど。友達です!」


「あんた知ってんの?ジョウは彼女持ち。だから、うろつかれると、困る人が居るっての!」


「瑠奈先輩知らねぇの?三年のマドンナ!」



その名前を聞いた瞬間、体がビクンと跳ねた。


仁君が話しているのを聞いていたから、瑠奈先輩という存在は知っている。



「だから、手ぇ出すなっつってんの!」


「…先輩達は言いんですか?」


「うざいんだよ!」



ある人が、右手を振り上げた。