「…日芽、話があるの。リビングに居なさい」
家に入ると、直ぐに母親がやって来てそう言われた。
「でも、私…」
「いいから!」
「……うん」
母親の様子を見る限り、良い話ではなさそう。
リビングに行くと、父親が胡座をかき、背筋を伸ばして座っていた。
「此処に座りなさい」
机を挟んで、父親の前に腰を下ろす。
翔太は、二階。
「…日芽、何時だと思ってる。夏休みだからって、遊んでばかりだと成績がダメになるぞ」
「…人の勝手じゃん」
「お父さんは、日芽のことを思って言ってるのよ」
父親の隣に、母親が座った。
「日芽、お前は女の子なんだぞ。しかも、何だ?あの変なチャラチャラした男は」
「………」
「何とか言いなさい」
「…そういうの、古いよ。頑固な親父」
言うと、立ち上がって二階に上った。
途中で呼び止められたけど、無視をして携帯を開いた。
「もしもし、美緒?夜にごめんね」
『…日芽…私、仁君に告白されちゃった…』
「…え?」
駅での会話を思い出す。
彼は、美緒は友達だと言い、彼女紹介して来た。
『ホントよ…!さっきね、電話かかって来て、好きだよって言ってくれたの。私も好きだよって』
「…じゃあ、付き合うの?」
『うん!』
即答だった。