―ミーンミーン…
蝉が鳴く。
点けっ放しのテレビからは、面白くない内容が流れる。
ソファに寝転がって、携帯を眺める。
しかし、誰からの連絡も無ければ、メルマガも無い。
「…暑い」
先程から、その二言しか言っていない気がした。
―ピロリン…
「…もしもしっ!?」
『うるさ!音量デカかった』
「…翔太?」
『うん。携帯買ってもらったからさ!試したくなって!』
「やめて!」
一方的に電話を切り、携帯を床に軽く放り投げた。
「…ひまー…」
―ピロリン…
「………」
―ピロリン…
「………」
―ピロリン…
「……もしもし…?」
『…日芽?どした?』
「ジョウ!?」
慌てて起き上がった。
『何ビビってんの?』
「いや、何も…」
『明日空いてる?仁とかと、プール行くんだけど』
「ホント?行きたい!」
『じゃあ、明日、駅に10時な』
「うん、分かった。バイバイ」
切った後、携帯を握り締めてソファに寝転がった。
「…ジョウとプール…。仁君が居るなら、美緒も来るのかな?楽しみー!」
あまりに喜びすぎて、ソファから落ちてしまった。
「…プール…!」