―キーンコーン…



「夏休みは、遅く帰らないことと……」



狭い体育館の中に、全校生徒が集まって終業式が始まった。


ついに、待ち望んだ夏休みが始まろうとしている。



「校長、話ながー」


「無駄だよね、誰も守らないのに」



壁に寄り掛かって、足を伸ばして愚痴を零す。


美緒は、携帯をいじりながら。



「夏休みかぁ…超楽しみ!」


「…美緒、仁君と付き合ってんの?」


「…え?何いきなり」


「…なんとなく」



私の目線の先には、楽しそうに周りの男子達と話すジョウが居る。



「付き合ってる…のかな?告られてはないけど」


「え?」


「分かんない」



視線を感じて顔を上げると、担任がこっちを睨んでいた。


それに気付いた美緒が、担任に向かってにっこりと微笑む。



「早く終われー」



美緒が言ったのとほぼ同時に、ブレザーのポケットに入っている携帯が震えた。


取り出して開くと、メールが届いていた。



Date 7/14 10:59
From 譲
Sub (non title)
──────────
今日一緒に帰ろうぜ!
ってか、遊ぶか!笑


END


──────────



ジョウを見ると、ジョウも私を見ていた様で、目が合った。


そして、ジョウ特有の笑顔になった。



「譲君って、可愛い笑顔するんだね」


「…うん!」