自室でベッドに座りながら、私は雑誌を読んでいた。


一階からは、最近頻繁になった様に思える、両親の喧嘩が響いて来る。



「…うるさいな…」



呟くと、階段を駈け登る音が聞こえて来た。


すると、静かに部屋の扉が開かれた。



「お母さん?どうしたの?暗い顔して」


「…お母さんを、許してね…」


「…え?」



聞き返して、雑誌を隣に置く為に下を向いた瞬間。


左胸から、ものに表せない程の激痛が走った。



「……お、母さん…?」


「………」



私は、母親に包丁で刺された。


次第に体が硬直して、冷たくなっていくのが分かる。


母親は、唯、ごめんね、と繰り返すだけ。


私……



死ぬの?