暫く沈黙しながら歩き、再び話題が盛り上がって来た時。


前方から、女の子に囲まれた"ジョウ"がやって来た。


女の子は、先輩が多いと一目で分かる。



「…日芽…」


「………」



私に気付いていないのか、それとも知らん振りをしているのか。


ジョウは私の横を、素通りした。



「……最低」



私のこと、知ってるくせして立場が悪いと無視をする。


そんな態度が、凄く許せなかった。



―ピロリン…



「……日芽、携帯鳴ってるよ」


「良い。どうせ、あいつだし。頭きたんだから!」



帰りの電車の中で、届いたメールも開かずに電源を切った。


おかしい、

おかしい。


何でこんなに苛々してるの?


あの人に出会ってからずっと。



「……ただいま」



帰ってすぐに、部屋に入るとベッドに倒れ込んだ。



「…疲れた」



呟くと、一時間程前に切った携帯の電源を入れた。



【受信:3通】



「…は!?」



慌てて起き上がった。



【ジョウ】

【ジョウ】

【美緒】



何かの悪戯ではないか、と思ってしまうくらい、おかしかった。


でも、何故か私の顔は緩んで。


口角が自然に上がっていた。