「でも俺、前からお前のこと狙ってたんだ」


「…え?」


「だからあの木の下にお前が来た時、正直焦ったよ」



…だから木の上から落ちて来たの……?


でもあれは私が大声出して昼寝の邪魔しちゃったからで…


かなり冷静だったよね…?



「ちょっと待って。いきなりそんなこと言われたって、私困る…」


「まぁまぁ。別に橋本譲が居ないから今がチャンスとか思ってないから安心してよ」



安心してよと言われても…。


翔之、君は何がしたいの?



「ん」


「なに?」


「アド交換しよ」


「…あ、うん……」



鞄から携帯を取り出して赤外線受信した。


その後翔之の顔を見たら、嬉しそうに携帯の画面を見つめてた。


何か…調子狂っちゃう…。



「あ、何か引き止めてごめん」


「え」


「話はそれだけ!俺は純粋にお前のアドが知りたかっただけだからな。勘違いすんなよ」



少し頬を赤らめて、私を指差す翔之。


これでも大学受験を控えている三年生って考えると、笑っちゃう。


背丈といい、言動といい…一年生みたいだ。



「分かってるよ、バーカ」


「ふはっ」


「じゃあねー」


「ん!」



体全体を使って手を振る翔之。


本当に馬鹿だよ、あいつは。





ねぇ、私ちゃんと笑えてるのかな…?