今まで雨に濡れていた私に、美緒が傘を差してきれた。



「…私もごめんね。日芽は何でも上手くいってる、みたいなこと言って…」


「………」


「日芽も、大変だったんだよね…」


「…ううん」



私達は握手をした。



「…美緒…日芽ちゃん…」


「仁君…」


「仁君、ごめんね。ジョウ、見つかったんだけど…、バスで…っ…行っちゃった…っ」



声が震える。


仁君も美緒も、眉間に皺を寄せて私を見てる。



「…そっか…しょうがない、よな…」


「………」



仁君も、私みたいにびしょ濡れだった。


息遣いも荒くて…私を見てもらい泣き。


気付けば、美緒も泣いてた。



「あ、」



今、美緒と仁君は喧嘩してるんだっけ?



「私邪魔だね。ごめんね、二人共ありがとう」



そう言って、私はその場から去った。


この二人には、しあわせになってもらいたい。


私みたいに、変な終わり方してほしくない。


頑張ってね、美緒。



私は泣いてばかりで、何もしてあげられないけど。


美緒なら大丈夫。




私は最後に、ジョウに伝えとけば良かったって思うことがある。



“だいすきだよ”