「全然…それっぽい人も見当たらなかった…」
「…そっか」
「さっき、美緒に間違えて電話しちゃって…。でも、美緒も探してくれてるの」
「………」
多分仁君は、今、美緒に会いたくないよね。
それは私も同じだけど、やっぱり多い方が良いしキッカケになると思ったから…。
「じゃあ、俺あっち探す!絶対見つける!」
「うん!!」
その場で仁君と別れて、私は真直ぐの道を進んだ。
ジョウに電話をしても電源を切っているのか、繋がらない。
暫くすると、信号で足止めになった。
このままジョウが、見つからなかったらどうしよう…。
ごめんねとか、ありがとう、とか…色々伝えたいことがあるのに。
信号が青になった。
私が渡ろうとすると、先にバスが左折して来た。
ぼーっとそのバスを見ていると、見覚えのある金髪が見えた。
「……ジョウ?」
その人がジョウであっても、そうでなくても、私はバスを追ってみた。
でも、バスは当然にどんどん加速して私は離されて行く。
「ジョウだよね!?ジョウ!気付いてよー!!」
叫ぶと、私の声が聞こえたのか、窓が開いて会いたかった人の顔が出て来た。
「…日芽…」
「何やってんのよ!何で何処か行くの?私のこと嫌になった?」
走りながら言うのは辛い。
息が出来なくて、今にも倒れそう。
でも、バスはどんどん離れて行く。