暫く、外の景色をぼーっと眺めてた。


ポカポカ陽気だけれど、雲は少し灰色に染まってる。



「雨降るかなぁ」



呟くと、風が吹いて何か嗅いだことのある花の香りが漂って来た。



―ピロリン…


【仁君】



「もしもし?」


『もしもし、日芽ちゃん!?』


「どうしたの?そんな慌てて…」


『ジョウ、ジョウが居なくなった!!!』


「え…!?」



さっきまで愚痴を話していたジョウが…

居なくなった……?



『さっき、用あるからって呼ばれたんだけど、そしたらあいつ“日芽をよろしく”って俺のこと殴りやがった』


「…何処行ったの…?」


『分かんね!今、あいつの行きそうな場所探してるんだけど…居なくて!』


「私も探す!!」


『え、日芽ちゃ』



―ピッ



仁君はまだ喋ろうとしてたみたいだけど、無視して切った。


急いで上着を着て、靴を履いて家を出た。



ジョウから貰った苺のピアス、ちゃんと服についてるよ。


それとも、ジョウは私のこと、嫌いになっちゃったのかな。



「ジョウっ…!」



橋の下にも、ゲームセンターにもジョウが好きそうなアクセのお店にも、居なかった。


何処に居るの?

ジョウ……