「大丈夫だよ。後で本部行くし」
「後でじゃなくて今行けよ!」
そう言って、ジョウは私の左腕を掴む。
いつもは右手だけど、今は怪我してるからだよね…。
「橋下、大活躍じゃねぇか」
「ありがと、先生」
包帯なんて、大袈裟な…。
「日芽、ホントにバスケ上手いよな」
「小さい頃、習ってたんだけど…。すぐ辞めちゃった」
「ふーん…」
ジョウは、転がっていたサッカーボールでリフティングし始めた。
隣で密かに、回数を数える私。
「…そういや、美緒が」
「………」
「後で話したいことあるって」
「…え?」
「次の試合が終わったら、休憩が重なるから桜の木の下来てって」
「…うん…」
「仲直り、出来ると良いな!!」
「…うん!!」
久し振りに、ジョウスマイルを見た気がしたよ。
「日芽ちゃん、怪我しちゃったんだし、あんまり無理しないでね」
「大丈夫!かすり傷だから!先生、大袈裟なんだもん」
ボールを突きながら言うと、友美ちゃんは笑った。
―始め!
「日芽、パス!」
「はいっ!」
バスケは楽しいよ。
でも、やっぱり美緒達が居ないコートは寂しくて、少し怖い。
安心、出来ないよ…。