バカだからこそ、笑い合える。


バカだからこそ、泣き続ける。


バカだからこそ、喧嘩をする。


バカだからこそ、君に出会えた。


だから私は、バカで良かったって、心から思えるの。


人間、そんな頭の良い人なんて居ないよ。



「もしもし?日芽だよ」



道路の端に停車している車の中で、携帯を耳に当てる私。


電話の相手は、高校の時の友達、美緒。



「うん。今から向かうとこ。そうだよ」



話を続けながら、私は車を出す準備をした。



「じゃあ、後でね。バイバイ」



電話を切り、助手席に軽く放り投げる。


エンジンをかけると、車は鈍い音を放った。


向かうは、駅前の結構大きな喫茶店。


今日は、そこで高3のクラスの同窓会がある。


信号で止まると、丁度ラジオで聞き覚えのある曲が流れた。



「……懐かしい」