コイツが舞に何をしようと俺には関係ない。


俺が舞を守るから。

ただ、それだけ。


俺は世界中を敵に回しても、舞を守れる自信がある。



『話はそれだけ??

じゃあ、俺、帰るから。』



そう言いながら、屋上の出口へと振り返る。


正直、これほど無駄な時間を費やしたのは初めてかもしれない。



「本当に舞ちゃんを守りたいなら、あたしと付き合うべきだと思うけど!?」


背中から声が聞こえてくる。


コイツ…ばっかじゃねえの?


本当、くっだらねぇ。





『俺が守らなきゃ、誰が舞を守るわけ??』



アイツを、

舞を守れるのも俺だけ。


舞の隣は俺専用だから。



「後悔してもしらないわよ??」

『後悔なんか、しねぇよ。』



するわけがない。


舞にも、

俺がさせねぇから。



「…本当にイジメるからね!!」

『どうぞお勝手に。』



それだけ言い残すと、めんどくさくなった俺は屋上を後にした。


まだなんか言ってる気がするけど、気づかないフリ。




『さて、明日から頑張らないとな。』



1人になった俺はボソッとつぶやく。



アイツのことだ。


手段を選ばずに、ホイホイやってくるに違いない。



別に、俺はそれでもいいけど。


後悔するのはきっと、そっちだから。




だって、そうだろ?


守るべきものは、

舞の名誉でも、
俺の名誉でもない。


舞自身なんだから。










〈side舞〉


『何これ…。』



学校にきてみたあたしは絶句。


だってあたしの靴箱には、

有り得ないぐらいの封筒が入っていた。


おまけに封筒の中身も有り得ないぐらいに膨らんでいる。


…絶対にラブレターとかの次元ではない感じ。



明らか怪しい封筒は置いといて、とりあえず上履きを取る。



チャリン…



『……??』



中から聞こえてきた効果音に思わず眉をひそめる。


…チャリン、ですと??


もしかして…、上履きになんか入ってる??




「どうした?」



後ろからアイツがあたしの手元を覗き込む。


あ、なんでアイツがいるかと言うと、今は朝の登校中だから必然的にそうなったってわけで。


まぁ、それは置いといて。


あたしは無言で、大量の封筒と上履きを指差した。



「何これ?」



アイツもあたしと同じように、怪訝そうに眉を寄せた。


ま、当たり前だよね。


こんなの見たら、眉をひそめるしかないもん。




ヒョイッとアイツが、手元にある上履きをあたしから奪った。


そして乱暴に上履きを逆さまにする。




チャリン、


先程の効果音が再びなり響き、足元に何かが落ちた。


それをアイツがサッと拾いあげる。



「画鋲、だな。」

『画鋲…。』



一瞬、思考回路が停止した気がした。



上履きに画鋲って…、あれですよね??


イジメの定番的な。



ある予感がしたあたしは、慌てて封筒の1つをこじ開ける。



『いたっ…。』



あたしの指からは少しの血がしたたり落ちた。



入っていたのは、

カミソリ、だったんだ。





予感は確定された。


あたしの身に降りかかってる出来事。


それは、イジメだ。



『誰がこんなこと…。』



正直、意味がわからない。



いや、元からイジメは意味わかんないものなんだけどさ。



それはともかく、

あたし、何かやったっけ…??




「多分…、アイツだな。」



アイツがボソッとつぶやいたのを、あたしは見逃さなかった。



『アイツって誰!??』


陵には、心あたりがあるの??





あたしはアイツに凄い勢いで詰め寄った。


アイツにしては珍しく、
「やべぇ」とでも言いそうな顔をして、頭を掻いている。


ふーん…

アイツでも失敗することがあるんだ…。

……じゃなくて!!



『何か知ってるなら教えてよ!?』



隠しごとはなし、でしょ??


そんな意味を込めてアイツを見る。


そしたらアイツは、仕方ないとでも言った感じに、口を開いた。



「…春ちゃん、だよ。」

『は??』

「多分、これは春ちゃんの仕業だ。」





あぁ、なるほどね。

妙に納得してしまった。


春ちゃんだったら、やりそうな気がする。


今まで色々あったし。



『でも…なんで突然??』



ここが疑問。


春ちゃんがあたしを嫌ってるのは十分わかった。


だけどさ、なんで今更??って感じ。


どうせなら、もっと昔からやってそうなのに。




「あぁ、それは。

俺が昨日、油注いじゃったから。」

『…どうゆうこと??』

「ホラ、昨日、俺と春ちゃんは放課後話しただろ??」