――もしも、アイツがいつものように、あたしにつきまとってきてたら。
あたしは自分の気持ちに気づかずに、
運命は変わっていたのかもしれない。
でも、アイツが春ちゃんと回っていたのは必然で、
きっと、あたしは自分の気持ちに気づく運命だったんだ。
だから、
あたしとアイツが付き合うのは、
神様のイタズラでもなく、
きっと、運命。
こうなる、
運命だったんだ――。
『……。』
「……。」
しばらく無言でお互いの体温を感じあってた。
変なの。
ちょっと前までは、アイツの体温が限りなくキライだったのに。
今はアイツの体温が心地よい。
むしろ、好き。
『ねぇ陵。』
「あ??」
『あたしたち、カップルになったんだね。』
そんなあたしの質問に、アイツは少し驚いた顔をした。
「…そうだな。」
――カップル。
なんだろう。
耳がくすぐったい。
あたしたち、カップルになったんだ。
花火がきれいに空を色づける。
無意識に、あたしは空を見上げた。
『…陵。』
「ん??」
『これからは、一生一緒だね。』
幼なじみは、今日で卒業。
「…そうだな。」
今日、あたしたちは、
幼なじみから、
恋人同士になりました。
――――――――…
―――――――…
――――――…
思いが通じ合った次の日の朝。
『最っ低!!』
「はぁ?」
朝から仲良く(?)ケンカしてます。
きっかけは些細なこと。
「別にいいじゃん。
キスぐらい。」
『よくなぁい!!』
そう、アイツがあたしにキスをしてきたのが原因。
キスだけだったら、まだ許せる。
でも…、
みんなが通る道端でやるなんて、考えられない!!
「普通じゃん?
恋人同士なんだから。」
アイツがしれっとした表情で言う。
全然、変わってない。
あたしも、アイツも。
っていうか、付き合ってる実感も全然わかないし。
あたしたちは、まだ幼なじみのままなのではないか、
…なんて錯覚をおこしてしまいそうなぐらい。
1つ変わったことと言えば、スキンシップが増えたことぐらい??
…まぁ、そのスキンシップが原因でケンカが起こってるんだけど。
「なんで、だめなわけ??」
『いや…。』
そんなこと言われても。
言わなくたってわかるでしょ??
見られたくないし、
恥ずかしいし、
それに…、
照れくさい。
『なんだっていいじゃない!!
明日から人前でキスするの禁止!!』
あたしは声を振り上げて、怒鳴った。
当の怒らせた本人は、涼しい顔をしてるのが、またムカつく。
有り得ないし!!
「はいはい。
ってゆうか…、お前は先輩と別れたわけ??」
『え!?』
あたしの額に冷や汗が垂れるのを感じた。
やばい…。
別れを告げるの忘れてた!!
アイツはそんなあたしを見透かしてるように、こっちをジッと見つめてくる。
なんていうか…。
形成逆転!?
これってピンチ…??
『いや、あの…。』
もう、しどろもどろ。
上手い言い訳を探そうとしてるけど、口下手なあたしが、そんな器用なこと、できるわけがない。
「やっぱり、な。」
アイツは全て予想通りだと言うように、ため息を吐く。
悔しいけど、何も言い返すことができない。
だって、アイツが言ってること正しいんだもん。
『仕方ないじゃん…』
あたしはボソッと呟く。
だって昨日はアイツとくっつけたことが予想外すぎて、
嬉しすぎて、
それどころじゃなかったんだもん。
「しょうがねぇな。」
アイツが顎に手をかけ、何かを考えるような仕草をした。
あたしは緊張するように、ごくっと唾をのむ。
「舞からキスしてくれたら許してやるよ。」
『はぁ!?』
あたしは唖然呆然。
また、そういう系ですか。
『バカじゃないの!?
そんなのできるわけないじゃん!?』
あたしがそんなこと言える立場じゃない、ってわかってる。
でも、無理なもんは無理。
それに…、
さっき言いませんでしたっけ??
『人前でチューしない』って。
聞いてなかったの??