全く関係ないのに、支えてくれようとまでしてくれる。

多分、こんな事は聞くべきじゃないと思うけど。

でも、聞かずにはいられなかった。


「私は…蒼を信じていいのかな…」

「………」


蒼は何も言わずに座っていたソファから降りて、俯く私の正面に座った。


「…美月?こっち見て?」


優しい口調で、視線を上げるように促す。

私はゆっくりと顔をあげ、蒼を見る。


「はは!そんな不安そうな顔すんなよ。」

「…ごめん、でも……」


蒼は私の頬を両手で包み込んだ。

真剣だけど、どこか優しい…そんな視線。


「美月は、信じていいって言われたら、誰でも信じる?」

「………」


それは違う。


「言われて信じるんだったら、何度でも言ってやるよ?でも、違うだろ?」

「うん…」

「信じるかどうかは、俺が決める事じゃない。美月が決めて。」


蒼は、そう言って私から手を離す。

確かに蒼が言ってることは正しい。

初めから騙そうと思ってる人が、『私はあなたを騙そうとしています』なんて言うわけがない。

これは私の問題。


蒼と出会って、まだ3週間弱。

お互いに全てを理解しているわけじゃない。

それは当たり前のこと。

でも、今までの私が、男の子を部屋に入れる自体があり得ない。

蒼には気を許してる?

触れられること…

そんなに気にならない。

イヤじゃないと言ったら嘘だけど…。

それでも、私の中の大きな変化。

答えはもう、わかってる気がする。

蒼が突然私の頬に触れる。

体が反応する。


「泣くなよ……」