「どうぞ。」

「サンキュ!」


蒼にお茶を出して、私もリビングに座った。

テレビをつけていたせいか、気まずいせいか、会話はなかった。


蒼は、話さなくてもいいって言ってくれた。

私でも、同じ事を言ったと思う。

でも…本当は聞きたいんじゃないだろうか。

いつもいつも助けてもらっていて…。

何も知らない蒼を利用しているようで苦しい。

でも、聞いて楽しい話じゃないし。


「蒼…」

「ん?」


優しく微笑みながら、こっちを向く。

思い切って聞いてしまおう!

私もモヤモヤするのはイヤだ。


「さっきの話だけど…工藤が何者なのか…気になってる?」


蒼は、私が自ら言い出すとは思わなかったのか、目を丸くしていた。


「……気にならないって言ったら、嘘になるけど…でも、言いづらいんだろ?」

「うん…まぁ。多分、聞いてもいい気分になる話ではないし」


もう、言う覚悟で。

あとは蒼に任せる。

聞きたいなら言う。

聞きたくないなら言わない。


「お前が抱えてる事が少しは軽くなるなら話して。言ったことによって、今より辛くなるなら言わなくていい。」

「…幻滅されたくない……」

「なんとなくは想像つくけど…お前に否があるわけじゃないんだろ?」


まぁ、そうかもしれないけど…。


「多分、俺は美月を違う目で見ることはないと思うし、もし俺に話してくれるなら、助けてやりたいし、気持ちが軽くなるようにしてやりたいとは思うよ?」


なんだか、その言葉に救われた気がした。

同じ男の人でも、考え方は人それぞれ。

それはわかってたけど、なかなか割り切れなかった。


「蒼…質問してもいい?」

「何?」


私の中では大きな問題。

蒼は、助けてくれた。