どうして…

こんなところで工藤に会うなんて…。


「やっぱり…もう、男作ったのか…さすがだな」

「そ…そんなんじゃない」


早く、この場から立ち去りたい。

でも、足が動いてくれない。


「友達?」

「違う。蒼…行こう。」


蒼は不思議そうに私と工藤を交互に見ていた。

やっと一歩目の足が動き、蒼の服を引いた。


「待てよ。」


工藤に腕を捕まれる。

あの時と同じ…。


「イヤっ!」


ふりほどこうと試みるが、やっぱり男の力にはかなわないと思い知らされる。


「俺ら、退学になったこと…知ってた?」

「…知らない…」


ホントは知ってたけど…。

話しを早く終わらせたかった私は、視線を逸らし知らないフリをした。


「ちょっと話がしたいんだけど…」


背筋が凍る。

信じられない。

言葉が出てこない。

退学になってもまだ懲りてないの?


「来いよ!」

「嫌…また…騙す気?」


私の言葉が聞こえないかのように、工藤は私の腕を引く。


「ヤダってば!」

「お前には、説明しなきゃいけないことがあるんだよ!」


工藤の大きな声に体がビクッと動き、ガタガタと震え出す。