…今、初めてちゃんと顔を見たかも?

蒼と茜の周りには、何故にあんな美男美女が?

滅多にお目にかかれないような美人。

茜と揃ってモデルにでもなってみたらどうでしょう…。

って、健くんを始めてみたときにも同じことを思った気がする。

芸能人にでもなれるんじゃないだろうか。

お人形みたい。

優しそうな、少し垂れてる大きな目。

ふんわりワンピがすごく似合う『女の子』っぽい女の子。

少しして、香澄の後を追い、個室に戻る。


「蒼、ごめん。服借りて帰っても平気?」

「いいよ!取れた?」

「ぜぇ~んぜんっ!」


いつの間にか、ビニール袋が用意されていて、蒼がそれを広げてくれる。

びしょぬれのシャツを入れる。


「そっか…残念だな。まぁ、新しいの頼んでおいたから、飲め飲め!」


…これでやめとくって言ったのに。


「でも…」

「いいって、今日は介護してくれるやついっぱいいるし!」


ビールを口に運びながら笑いながら言う蒼。


「美月担当は相原だから!」


茜の冷たい声が聞こえ、蒼は眉間にしわを寄せながら、睨み返す。

そんな二人を立ったまま眺めていた私を、香澄が蒼の横に座らせた。

私はそれに素直に従った。

蒼のパーカー…また借りることになっちゃったな…。

なにやってんだろ、私。