体育のために学校に来てるのか?

そう言っても過言ではない茜の態度に、呆れるのを通り越して笑いがこみあげてきた。

先に教室に着いた茜。

ジャージを持って更衣室へ向かった。



「美月って、運動神経までいいわけ?」

「そんなことないって…」


授業はたまたま私の得意なバレーボールだった。

今日はたまたま茜のチームと当たる事になって、茜が挑発するから。

ついつい負けず嫌いを発揮してしまった。


「普段はボーっとしてるくせに」

「…悪かったわね…」


教室に戻りながら話をしていた私たち。

席に着くと、茜はすでに睡眠体勢に入っていた。

今さっき、蒼にテスト前だけ頑張ったってダメって言われてたのに…。

懲りないな…。

そんな茜を見ながら、私も席についた。


「美月って、スポーツも出来るんだな」


先に席についていた蒼に、茜と同じ事を言われる。


「…見てたの?」

「チラッとね!駿河があんなにコテンパンにやられてるの初めて見たよ。アイツ体育だけが取り柄だから、今かなり悔しいんじゃない?」


そう言って、茜をチラッと見た蒼。

茜は…もう寝てるのか?

しかし…見られてたなんて…。

…なんか無性に恥ずかしくなってくる。

バカみたいに夢中になっていた。

はぁ…。

転校してきた時の決意は、私の中でないものとなっていた。

何事にも冷静でいたかったはずなのに。

ちょっと反省しながら、次の時間に帰ってくるテストを待った。