「で?」

「『で?』って何…?」

「相原ってうまいの?」

「何の話?」

「エッチ。」

「…はぁ?!」


いつの間にそんな話に?!

驚く私の目の前では、丁度教室に戻ってきた蒼がむせている。

飲んでたコーヒーが気管に入ったようす。


「駿河っ!お前なんてこと聞いてんだよ!」

「だって、二人ともホントの事言わないから。」

「「言ってるしっ!」」


私と蒼の声がハモり、二人で茜に詰め寄る。


「ハモっちゃってラブラブねっ!美月なんか、顔真っ赤だし。」


確かに顔は熱いけどっ!

でも、そもそもは茜が変なこと言うからでしょ!

結局、茜のシモネタ話に付き合わされた。

私は顔を上げる事が出来ずに、黙々と食事を口に運ぶ。


「美月は常に赤面状態だし!」

「だって茜がぁ~!」


その後も、茜は冷やかし続け、無視を決め込む私。

私の変わりに、蒼が必死になって否定を続けていた。


「ホントになんにもないなんて…。」


茜は何故かガッカリしてる。

一体、何を期待してたのよ。

茜の質問に、冗談で「うん、うまいよ。」なんて答えていたとしたら、どうなってたんだろう。

いや、そんなこと言うつもりは全然ないのだけれど…。

もし万が一、何かあったとしたら、

私は多分ここにいません…。