「相原!今回良かった!」


笑顔でそう言い切る茜に、蒼は右手を突き出した。

見せろ…ってことね?


「相原はどうだったのよ!」


茜は返ってきた答案用紙を胸に抱くようにして蒼から守り、蒼の結果を問う。

やっぱり、誰もが思う心理だよね。

自分のを見せてもいいけど、相手のも見たい。

そう思うのは…。

二人のやりとりを見ていると、後ろから坂下くんも声をかけてきた。


「今回は、駿河に負けてないと思うんだけど!」

「お前ら低レベルな所で張り合うな!」


そう言い切った蒼に、茜と坂下くんは、攻撃を開始する。


「相原はどうだったんだよ~」

「私の見る癖に、自分の隠すとかナシだからね!」


言いよる二人に、蒼はため息をつきながら余裕な表情を見せる。


「確実に、お前らよりはいいから安心しろ!」

「「なにそれ!」」


二人からの抗議の声。

私は思わず笑ってしまった。


「美月!アンタ…笑ってるけど、どうだったのよ!」


まずい…。

矛先が私に向いてしまった。


「わ~かったって!じゃぁ、4人で同時に行くぞ!」

「えぇ!私を巻き込まないで!」

「笑った罰!行くよ!」

「せーのっ!」


表を向けた答案用紙が4枚…。

私のは3人に無理やり奪われたのだけれども…。


「マジか…」

「…あんた達の頭の中見てみたいわ…」

「ぐはっ…駿河に負けた…」

「…坂下くん…それ赤点じゃ…?」


それぞれの心境が口に出される。