蒼はそれでいいかもしれないけど…

こっちは茜にしつこく聞かれてるんだよぅ!


「…それに、強く否定されんのも…な」

「…へ?」


蒼は『なんでもな~い』とふざけながら話を流す。


「こっちは困ってるのに!」


口を尖らせて、イジケモードに突入する私。


「可愛いと思ったのは事実だし。…前にも言っただろ?」

「!」


前にもって…。


「相原、青柳!聞いてるか?!」

「聞いてる聞いてる!」


そう言って前を向いて先生の話を真面目聞く蒼。

何言ってんの?

どうしちゃったの?!

だって…前に言ってたのは、パーカーがって話で…。

自分の中で、そういうことで処理していた話題。

そんなこと、改めて言われたら…。


なんか意識しちゃうじゃない…。


でも、直接蒼にはそれ以上は何も聞くことができずに時間が過ぎた。



授業中、蒼が呼ばれて立ち上がる。

返却になったテストを見て、頬が緩んだのが目に入った。


「良かったの?」


出席番号順に返却されるテスト。

教壇の前ですれ違った蒼と私。

蒼のテストを覗きこもうとした瞬間、パッと伏せられる。


昨日、一緒に出かけたときに、確かに蒼に安心感を抱いていた…。

どうしてなのかはわからないけど…。

他の男の子よりも、普通に話ができるようになっていた。

でも…やっぱり学校では秋野さんの事が気にかかり、自分から話をすることは避けている部分がある。


「秘密!」


そう言いながらも、ニヤッと笑う蒼。