冷やかしながらついてくる茜を振り切ろうと小走りで階段を駆け上がる。

でも、結局は向かう先は一緒。

少し教室に早く入っただけだった。


「ちょっと!ねぇ、なになに?何があったの?!」

「何もないってば!」


否定を繰り返しても、茜は信じてくれそうになかった。

どうすれば…。

そう思った時に、チャイムが鳴り、担任が教室に入ってくる。


「座れ~!」


その声に、茜は舌打ちをして、席に戻って行った。


た…助かった…。


ホッとしながら席に座った私。

蒼の後ろ姿が目に入る。

…なんであんなこと?


「…蒼?」


戸惑いながら、恐る恐る蒼の背中をつついた。


「ん?」


振り返った蒼の顔を見てすぐにわかった。

…コイツ……


「からかってたんでしょっ!」


明らかに、人の反応を見て楽しんでる顔!

コノヤロー!!


「…バカ!」


ヒドいヒドいっ!

なんであんなことをっ!

よりによって茜の前でっ!


「駿河との、楽しそうな話が聞こえてきたからさっ!」


いやいやいやいや!