自転車を停めて、そこからは街中の探索…。


「ねぇ」

「ん?」


蒼が案内してくれるお店は、私が大好きな雑貨や、スイーツのお店。

私は、疑問に思った事を口に出す。


「なんで、こんな可愛いお店いっぱい知ってるの?」


私の『一般的な男の子』の定理が間違っているのか…。

男の子に案内されてるとは思えないお店ばかりを案内してくれる。

中には、CDショップなどもあったのだけれど。


「前にも言ったじゃん、駿河に付き合わされるって。」

「そっか…みんなで買い物行ったりするんだ?」

「そう!完璧、お邪魔だろ?俺。」


蒼は苦笑いを浮かべながら、私を見下ろす。


「ホント、仲いいよね。」


蒼を見上げて笑う私。

笑ってる…。

なんか不思議…。

私自身がそう思っていた。

こんな風に笑えるなんて思ってなかった…。

そして、こんなふうに、誰かといることを、心地好く思えるなんて。


「今度からは、美月も付き合わされると思うぞ。覚悟しといたほうがいいぞ。」

「えぇ?!私も?」

「そ!美月も!駿河のお気に入りだからな。」

「…いつの間に…」


喜んでいいのか…相手が茜なだけに、なんか複雑な気分。

でも、嫌な気持ちにはならなかった。

ほんの少し前の私なら、「気に入られる必要なんてないし」とか、思っていたと思う。


「アイツ、面食いだからなぁ。初日から、可愛い可愛いって騒いでたよ。」

「うそ!あんなキレイな子に言われたら信じられないけど…」

「アイツがキレイなのは顔だけ…中身はドロドロ…。」


妙にイヤーな顔をする蒼に、思わず笑ってしまった。