「そろそろ帰るわ。」

「うん…わかった…。」


食器洗いをしてくれた蒼は、タオルで手を拭きながら、私を見てニッコリと微笑む。


「片付けまで手伝ってもらって…ありがとう。」

「いいえ。ごちそうさまでした。」


そう言って、玄関に向かう蒼を追って行く。


「あのさ…。」

「ん?」


靴を履きながら、背中を向けたまま話しかけられる。


「…鍵、ちゃんとかけろよ」

「うん。大丈夫。」

「それから!」


私の声に少し被るように蒼が少し大きな声を出した。


「俺のいないところでは酒は飲むな!以上!じゃぁな?」

「え…。」


蒼はそれだけ言うと、ドアを開けて出て行った。

言い逃げ?

っていうか…酒?

どういうこと?

昨日…私、お酒なんて飲んだ?

まさか…茜が薦めてくれたドリンクって…お酒だったの?

昨日の記憶がなかった私は、蒼の言葉の意味がイマイチ理解できない…。