「青柳さん!」


SHRが終わり、クラスメイトが私のところに集まる。

一気に騒がしくなる教室。


転校生は珍しいらしく、見世物状態の私。


「青柳さんの前の席なんて羨ましいなぁ!相原!」

「はははっ!仲良くなれるように頑張るわ〜。」


頑張ってくれなくてもいい。

瞬時に分かった。

担任が、「相原を知らないやつもいないだろう」って言っていた意味。

一気に人が集まったのは、転校生が珍しいのもあるだろうけど…。

多分、この人の人柄。

ペースに巻き込まれて、いつの間にか話をする。

人を引き付ける魅力のある人。

しかも、このルックス。

さっき、立ち上がった時の感じから言って、身長も高い。

細身のくせに、程よくついてそうな筋肉。

キレイに整った顔。

きっと、モテるんだろうな。


…目立つ人なら、尚更…仲良くなんてしたくない…。

それでなくても、特に男の子とは距離をおきたいのに。

こんな人がいたんじゃ、静かな高校生活は送れない。

また、同じ事になりかねない。


そんな私の胸中を知る由もないクラスメイトたち。


「坂下が前の席になったって、なんにも起こらないから安心しなって!」


そういいながら、坂下と呼ばれた男の子の肩を叩きながら現れた女の子。


何、この子…。

ホントに同い年?


私の視界に入ってきたのは、大学生と言われても、あっさり納得してしまいそうなほど大人びていて、キレイな女の子。

ストレートの茶髪。

すらっと長い手足。

切れ長の瞳。

そこらへんのモデルなんか顔負けのスタイル。


「駿河ぁ〜、それはわかんないだろ?」

「こんな可愛かったら、彼氏の一人や二人いるでしょ!ねぇ?」

そう言って、私を見る駿河さんと坂下くん。