「送って…くれたんだよね?」

「……あぁ」


ぶっきらぼうに答える蒼。


「…ごめんなさい」

「いや…」


気まずい空気が流れる。

初っ端から何やってんだろ…私。

男の子に甘えるなんて…。

考えられない。

何も…なかったんだよね?

確認するのが怖くて。

男の子を部屋に入れてること自体、あり得ない。

いや、教えることだってありえないのに…

抱えてたって……

色々な事を混乱する頭で考えたけど、やっぱり信じられなくて、でも…ここに蒼がいることは事実。

私は、俯いたまま黙っていた。

沈黙を破ったのは蒼。


「一人暮らしだったんだな」

「あ…うん」


親の都合で転校したのに一人暮らしって…おかしいと思われないかな…


「まぁ、ラッキーだったかもな?美月の寝顔見れたし?」

「…っ!バカっ!」


蒼は私の頭を軽く叩きながら笑っていた。

こんな時に、そんな冗談言うなんて!

デリカシーのない奴!


「何にもしてないから、安心しろよ」

「え…」

「心配してんだろ?」


頭を掻きながら目線を少しそらしながら言う。

テレてる?


「心配するのもわかるけど、俺は酔いつぶれてる女を襲うほど飢えてませんから!」


あ~、そぅ。


「まぁ、蒼なら、取っ替え引っ替えできるほどおモテになるでしょうしね!」


飢えてるとか、飢えてないとか…飢えてたら手当たり次第なのかって話。


「何、熱くなってるんだよ…」

「…別に」