「茜ぇ、さっきのちょうらいっ!」

「美月っ!具合悪くなる前に水っ!」

「……っ!」


蒼に大きな声を出されてビクっと体が反応する。


「…デカい声出してごめん…でもさ……」


私が寄りかかったままだから、ビクついた事に気づいた蒼が謝る。


「らって、みんな、あたしより飲んでりゅろにぃ~。」

「うぁ…最悪……泣くなぁ~?」

「「相原くんが泣かしたぁ~」」

「俺のせいかよ…」


涙を必死に拭いながら、蒼が必死に説明する。

私がさっき飲んでいたのは、カシスオレンジというお酒。

そして、私はお酒に弱くて、もう酔っぱらっているから、これ以上飲むと具合が悪くなるかもしれない。

だから、その前に水を飲んでおけば、少しは違うかも。


とのこと。


でも、そんなことは、今の私には関係ない。


「れも、みんら、飲んでりゅ…らから、美月も飲むろ。」

「ダメだぁ~。どうすりゃいいんだよ!」


幼児退行現象。

こんな事でも起きるんだな。

自分の事を「美月」って呼んでる時点で、普通ではないことは明らか。


確かに、このメンツ…

お酒を頼んだって、何の抵抗もなく出してもらえるだろう。

みんな大人びてるし。

キレイな顔してるし。


「ろうせ、美月は子供っぽいもん!」

「いや、今は子供っぽいとか言ってねぇし!」


もう、心の中で思っている事と、実際に口に出している事がゴッチャゴチャ。

ずっと3人は大笑い。


「こんな蒼見るの初めてだわ!」

「でっしょ?!この子、めっちゃ可愛いでしょ?!」


遠くで茜と心くんがなんか言ってる…

眠たくなってきた…