「これは、ほっとけない気持ちわかるよ、蒼。」

「心くん、それはなんでぇ?結構しっかり者のつもりだったんだけど!」


さっきも蒼に、迷子になるとか言われたし。

みんな失礼すぎ!


「なんでだろね~?」


ふざけながら心くんが言う。

茜はもちろん笑いっぱなし。


「なんなろよ~。茜、笑いすぎ!」

「だってっ!弱いんだろうなと思ってたけど、ここまでとは思わなかった!」


弱い?

何が?

お腹を抱えて笑う茜が言っている意味がわからない。

でも、なんか追求する気にもなれないんだよなぁ…。


「茜ぇ~、私トイレ行くから頼んどいてれ~。」


そう言って立ち上がった瞬間……


「おいっ、大丈夫か?」


膝に力が入らなくて…ふらふらしたまま、隣にいた蒼に倒れかかった。


「蒼~?ふらふらしゅる~。」

「だから言ったのに…駿河、水!」

「えぇ~、もっと飲ませた方が楽しいのに!」

「水いらにゃい。茜ぇおんなじのがいー。」

「…ぷっ!美月ちゃん、ロレツまわってないぞ!」


心くんに冷やかされながらも、ふわふわした気分のまま、私は蒼に体を預けていた。


「美月…自分の状況考えろ!」


状況?


「うん。確かにしゃんとしゃべれてない…感じがしゅりゅ。」

「だから、水飲め!」


蒼が私を支えながら水を差し出す。

会話が噛み合ってるんだか、合ってないんだか…。

そんな事も判断できなくなってきている。


「ヤダっ!」


それでも、必死に水を拒否する私。

だって、さっきまで飲んでたジュース、おいしかったんだもん。


「…はぁ~」


水を受取らない私に、ため息の蒼。

そして笑い続ける三人。