やっとの思いで切り抜けた歓迎会。


「じゃ、解散!気をつけてね~!」

「うん、バイバーイ!」


茜の声で、クラスメイト達はそれぞれの家路につく。

私は、みんなに手を振りながら、秋野さん達の行動を確認。

追ってきそうにない事を確認してから自宅に向かう。


秋野さんは、蒼にベッタリで、さっき私に向けていた表情からは想像できないほどの笑顔でカラオケに誘っていた。

それでも、週明けの学校に行くの…気が重いな。

蒼には申し訳ないけど、このまま退散させてもらおう。

…というか、蒼もまんざらでもなさそうじゃん。

蒼というエサにひっかっている間にそそくさとその場を後にした。


家はホントに知られたくない…。

はぁ…。

なんかドッと疲れた…。

トボトボと、家路を歩いていると、携帯が鳴った。

誰?


あ…茜だ…。


「もしもし?」

『お前ね、夜道をそんなトボトボ歩いてたら、危ないぞ!』

「へ?!蒼?!」


携帯片手に、あたりをキョロキョロと見渡す。


「あ…。」

「駿河が、二次会行こうって」

「え?今から?」


振り返ると、蒼が立っていて、手招きをしていた。

駆け寄る私を笑顔で迎えてくれる蒼。


「明日、休みだからって、なんかお前いまいち楽しめてなかったみたいだしって言ってたけどどうする?」

「…茜と蒼だけ?」


秋野さんは…。


「他のヤツらは帰ったよ。ってか、強制的にね!」

「そうなの?秋野さんにカラオケ誘われてたじゃん」

「あら?何?気にしてくれてんの?」

「自意識過剰!」


プイっと膨れて見せると、蒼は優しく笑っていた。