何?どういうこと?

思わず、両手を頬にあて、顔を隠す。


「…なんだよ……」


蒼は怪訝な顔をして、茜を睨む。


「美月、それ相原のでしょ?」

「え?うん…貸してもらっちゃった。」


私は、手の出ていない袖をパタパタと上下に振る。

何もなかった…。

そう自分に言い聞かせるように、無駄に明るく振る舞っていた。


「で?どういう成り行きでそうなったわけ?」


でも、茜の追及は終わる事はなかった。

楽しいおもちゃを見つけた子供のような…

そんなイキイキした目で、蒼を見る茜。

私の横には、机に肘をつき、頭を抱えている蒼の姿。


「美月ちゃぁ~ん、俺の服貸してあげるから、相原のなんて脱いで脱いでっ!」


坂下くんが張り合うように言い、自分の服を脱ごうとしている。


「大丈夫だよ?」


そう言うと、あからさまにショボンとする坂下くん。

そんな坂下くんを見て、茜とさっきまで落ち込んでいたはずの蒼は爆笑。


「あの…ありがとう、坂下くん。気持ちだけで嬉しいよ!」


どうしていいかわからずに、とりあえず、ありきたりな言葉を言ってみる。

坂下くんは、笑顔に戻っていて、『嬉しいって~』と、茜と蒼に自慢するように言っていた。

よかったぁ~。

さっきみたいに、楽しい雰囲気を壊しちゃいけない。

坂下くんが、茜の隣に移動しててくれてよかった…。


「「はいはい」」


茜と蒼には、適当にあしらわれたのは言うまでもないのだけれど…。